浮世絵学01/落款(伊八)いはち_2015當間隆代/江戸時代の彫工_武志伊八郎信由(浪の伊八)當間私家版_酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人) [HP: ukiyo-e.co.jp]
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2016-06-29現在

酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人) [HP: ukiyo-e.co.jp]


◯知人の當間(とうま)隆代さんより、本を二冊、戴いた。當間女史の娘さんの内山靖子さんから、當間の苗字は沖縄に多いが、父親の出身は千葉、母親の出身は札幌であると御知らせ戴き、訂正、補足をした。房総の伊八会代表である。

◯「初代 波の伊八」、また「武志(たけし)(1752-1824)伊八郎信由」。 *房総の各寺社の、頭貫(かしらぬき)、肘木(ひじき)、虹梁(こうりょう)、木鼻(きばな)、など「端が外側に突き出した」部分に木彫をした。一般に、握り拳、象、獅子などを象った彫刻が多い。また欄間(らんま)、向拝(こうはい)、蟇股(かえるまた)などにも、浮き彫り、透かし彫りを行っている。かなり深い彫りもあり、立体とも云える。廻り塚(まわりづか)の伊八と呼ばれたのは、長狭郡下打墨(現在の鴨川市)の敷地の大日堂の近くに塚があり、その塚を廻り道しなければならず、この地名を冠したからという。

1809(文化6)伊八/行元寺(ぎょうがんじ)の欄間「浪に漂う宝珠の図」(裏)

◯北齋(1760-1849)

1830s爲一/冨嶽三十六景・神奈川沖浪裏 爲一(北齋)は伊八の欄間から暗示を受けた可能性もある。

・2015當間隆代/江戸時代の彫工 初代波の伊八_武志伊八郎信由、當間私家版(片岡栄・監修)作品集。 *写真集とは別。

・2015片岡栄/名工波の伊八、そして北齋、文芸社

自家出版、地方出版なので、殆どの方は知らない。それでは余りに惜しいので、ここで多少、紹介したいと思い、ざっと読み、拝見した。

IMG_20160108_0001 - バージョン 21793(寛政9)、伊八46歳の出色の飛龍作品。

表紙は飯縄寺(いずなてら、現千葉県いすみ市))の欄間三面の一つ。触覚が一木(いちぼく)で表現されている。後から、触覚だけ差し込んだ寄せ木(よせぎ)ではない。この龍は伊八の中でも最高傑作か。

 

IMG_20160107_0001 - バージョン 4

巻末に、付表(一)初代伊八と北齋の年譜。付表(二)伊八五代建築略年表(年号、事項、彫工銘、典拠)

1809(文化6)伊八/行元寺(ぎょうがんじ)の欄間「浪に漂う宝珠の図」(裏)、1830s爲一/冨嶽三十六景・神奈川沖浪裏の構図が酷似している。北齋は伊八の欄間作品を見て暗示を得た可能性もある。「浪裏」の術語も、欄間の裏を示唆して、「浪」の文字を使っていることも興味深い。

IMG_20160108_0002 - バージョン 2

1803(享和3)、伊八、52歳の最高傑作である。

大山寺(おおやまでら、現千葉県鴨川市)の向拝(こうはい)廻り。いわゆる雨龍(あまりょう)である。剣は天の雨を呼ぶという信仰があり、雨乞いなどに使われる。この龍は、木彫でも最高品質の龍であると確信している。これも雨龍の意匠で、正面向きである。

 

IMG_20160107_0009 - バージョン 2

1809(文化6)、伊八、57歳。

行元寺(ぎょうがんじ、現千葉県いすみ市)

欄間は表裏になっている。北齋は裏の浪の構図を使っているから、順筆。右効きである。

とすると、伊八の表の欄間は逆筆。恐らく伊八は左効きであったか。

左甚五郎も、左効きの意かも知れない。確証はない。

IMG_20160107_0004 - バージョン 2

 

1810s(文化末)、伊八、60代後半か。正面向きの龍は、異例の画角。1840s?北齋の肉筆(八頭の龍?正面向き、某寺社の什宝、寺名は忘れたが…)は伊八の向拝を見て暗示を受けて、描いた可能性もある。

 

IMG_20160107_0008 - バージョン 2

1810s(文化後半)、伊八、60代後半か。

日光の陽明門を思わせるような豪華な彫、彩色である。

 

 

IMG_20160107_0005 - バージョン 2

制作年、未詳

竣工当時、木彫は鮮やかな絵具で塗られていた。現在は、退色して、当時の華やかで、鮮やかな迫力は無い。

木彫の龍、かなり無惨な姿であるが、何とか復原して欲しい。これは伊八の凄い作品である。

IMG_20160107_0006 - バージョン 2

制作年、未詳

龍の完成された姿態である。恐らく触覚というか髭もあったのだろう。むろん寄せ木ではなく、最初から一木(いちぼく)を彫り込んでいった。髭だけ、後から差し込めは、これは本来の木彫ではなく、寄せ木になる。

IMG_20160107_0007 - バージョン 2地図を見ても分かるように、各寺社に奉納されているので、とても全部を見ることは出来ない。

その意味で、詳細な部分の写真集は有り難い。

西欧では「神は細部に宿る」と云われているが、日本でも同様である。

ぜひ、原本を詳細に熟読、熟覧して欲しい。

ここで紹介した図版は、極く一部である。

何か御存知の方は御教示ねがいたい。

酒井 雁高(がんこう) 学芸員 curator
浮世絵・酒井好古堂   [HP: ukiyo-e.co.jp]
文化藝術懇話会    浮世絵鑑定家
100-0006東京都千代田区有楽町1-2-14
電話03-3591-4678 Fax03-3591-4678



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