浮世絵学01/落款(廣重)/偽筆*16 ひろしげ/廣重_那珂川町馬頭広重美術館 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人) [HP: ukiyo-e.co.jp]
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浮世絵学01/落款(廣重)/偽筆*16 ひろしげ/廣重_那珂川町馬頭広重美術館 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人) [HP: ukiyo-e.co.jp]

2016-11-10現在 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人) [HP: ukiyo-e.co.jp]

以前、私が日本浮世絵博物館に勤務していた時、この馬頭美術館の記事を照会した下野新聞の記者が訪ねてきた。昭和初年、地元の名士、青木藤作氏が美術館に寄贈した廣重の肉筆は偽筆でしょうかとの問い合わせであった。青木氏は徳富蘇峰を尊敬する素封家である。背後に、全く疑いを持たない善良な青木氏を欺き、妙な作品を真筆として売り込んだアクドイ人物がいる。この当時、青木氏は芝におられた。

1937-1943、廣重/江戸八景、富士十二景の肉筆も、名数として、成り立たない。江戸八景は、四横、団扇にあるにはある。しかし富士十二景という外題は全く見出せない。偽筆を作るため、名数を捏造したものである。

これらを当時、浮世絵界で紹介したのは、藤懸、楢崎の両先生である。

新聞記者の方と一緒に、収蔵庫の廣重の版画を確認した結果、すべての肉筆は廣重の版画を粉本として偽筆されたものであることが判明した。

浮世絵学に沿って、偽筆であることを書いてみる。

1 落款:「廣重」 *筆も画も書かれていない異例の落款。これは偽筆であることを証明している。

廣重は版下画(はんしたえ)を描くのに忙しい浮世絵師である。従って、手間、暇の掛かる肉筆などは殆ど描いていない。浮世絵博物館に、廣重の墨彩席画がある。着色した作品が慎重に真偽を見極める必要がある。

2 刊年:版画でなく、肉筆であるが、版画から写して偽筆を制作しているため、晩年に集中している。

3 判型形態:肉筆なので、該当しない。

4 外題(げだい):外題でなく、いきなり内題が書かれている。しかも落款の真下に書かれていて、全く廣重の作品とは違う書き方である。

5 版元:肉筆のため、該当しない。

6 内題(ないだい):外題がなく、いきなり内題が落款の真下に書かれている。これも偽筆を証明している。

7 出典:これらの廣重の肉筆群の来歴が全くない。いきなり1930s昭和期になって出現している。

廣重は版下画(はんしたえ)を描くのに忙しい浮世絵師である。従って、手間暇の掛かる肉筆などは殆ど描いていない。天童廣重と呼ばれる作品は、1851嘉永4、天童藩の織田信学(のぶみち)によって依頼された金泥落款の二幅、また三幅対の肉筆作品である。

原画と地の古び、表装、箱など、すべてが古くなければ、真筆とはいえない。なぜなら、原画が1840-1850年代の作品ならば、表装も古びがなければならない。

これらの作品は、以前、新聞記者の方と詳細に調査したので、昭和初年に制作された偽筆であることは間違いない。そして現在でも、偽筆であって、何年、経ても真筆にはなりえない。

何か御気付きの点があれば、御教示ねがいたい。

酒井 雁高(がんこう) 学芸員 curator
浮世絵・酒井好古堂   [HP: ukiyo-e.co.jp]
[浮世絵学]文化藝術懇話会    浮世絵鑑定家
100-0006東京都千代田区有楽町1-2-14
電話03-3591-4678 Fax03-3591-4678

 



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