浮世絵学(日本文学) 和泉式部日記 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人) [http://www.ukiyo-e.co.jp]
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2017-11-21現在(2018-06-01更新)

酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人) [http://www.ukiyo-e.co.jp]

◯和泉式部日記

恋愛歌人として喧伝されていた和泉式部。

文化藝術懇話会(49) *来週11-22(水)、和泉式部日記を鑑賞する
時: 2017-11-22(水)18.30-20.00
所: 淡路町ワテラス・レジデンス2011号(パーティR)
人: 和泉式部日記

書名:和泉式部日記 帥宮(そちのみや)との恋愛の顛末を記した歌物語 *和泉式部は三歳ほど年上
成立:1003.4.10頃 帥宮(そちのみや)(981-1007)の没後(1007)
作者:和泉式部(979c-1036-)

・夫、橘道貞(和泉守)と結婚し、和泉式部と呼ばれた。娘、小式部内侍(こしきぶのないし)
・道貞は任地に別の女性を連れて行く。
・弾正尹為尊親王(977-1002)との恋愛、親王は26歳で薨去(こうきょ)。*ためたか、冷泉第三皇子
・その弟の敦道親王(981-1007)と熱烈な恋愛 *太宰帥(だざいのそつ)(そちのみや) *同第四皇子
この帥宮も27歳で薨去。和泉式部、29歳。

・1009(寛弘6)晩春、一條天皇の中宮・彰子(上東門院)にもとに出仕した。紫式部、伊勢大輔は古参。
中宮出仕が機縁となり、
・藤原保昌(やすまさ)(958-1036)に再嫁し、夫と共に任國へ下る。*保昌は藤原道長の家司(けいし)
保昌は大和守、摂津守を歴任し、長元9年、79歳で没す。
保昌は武勇に勝れ、盗賊袴誰(はかまだれ)が襲うとしたが、出来なかった。屋敷に招かれ、衣類を与えられた。
和泉式部の没年は不明(1036c)

つれづれを慰めるために詠まれた。つれづれは、人間生得の孤独感に根ざす、心身のある状態をさす言葉。
帥宮(そちのみや)との当意即妙な歌の贈答によって高揚される恋情への陶酔
(清水文雄)

・人の恋の哀れさをこれほど優雅に深く表現した歌の惜しみなく撒かれている作品は珍しい(竹西寛子)
この日記は王朝の散文詩。優れた贈答歌だけでなく、日記の形式の逆手をとった時間の逆転、意欲的な張り。
空白が読者の想像力、読者の内部で膨らみながら、新しい部分に働きかけていく
場面の転換、省略の巧みさ。述べること、述べないことの均衡により張りが生まれている。
作品の冒頭は、作者の本心が包みきれず、滲み出る。作品の運命を握るのは最初の鍵である冒頭部分。

*日記の始めの部分は現代小説!
詩、散文詩、小説の違い、融合。抽象と具象の結合

・まつ山に 浪たかしとは見てしかど けふのながめは ただならぬかな(宮)
・君をこす すゑの松とは聞きわたれ ひとしなみには 誰か越ゆべき(女)
・君ををきて いづちゆくらん われだにも うき世の中に しゐてこそふれ(女)
・うちすてて 旅ゆく人は さもあらばあれ またなきものと 君し おもはば(宮)
・うたがはじ なをうらみじと おもふとも 心に心 かなはざりけり(宮)
・うらむらむ心は たゆなかぎりなく たのむ君をぞ われもうたがふ(女)
・なぐさむる君もありとはおもへども 猶夕暮れは 物ぞかなしき(女)
・夕暮は 誰も さのみぞおもほゆる まづ言ふ君ぞ 人にまされる(宮)
・くれ竹の 世々のふるごと おもほゆる 昔がたりは われのみやせん(女)
・くれ竹の うきふししげき 世の中に あらじとぞおもふ しばしばかりも(宮)

百人一首(ひゃくにんしゅ)の有名な和歌がある。

・あらざらん この世のほかの思ひ出に いまひとたびの逢ふこともがな(百人一首)

◯写本の末尾 *笠間影印叢刊19

1972榊原本/和泉式部日記(吉田幸一編) *1620s-1670s寛永、寛文頃、書写

左下の印「吏部大卿忠次」「文庫」。これらの印は、榊原忠次(1605-1665)旧蔵本であることを示している。

1243寛元本、1414応永本、1488三條西、1529享禄本、1620s-1670s榊原本、混成本とあるが、混成本を除き、最終文末は次のように書かれている。「北の方、女御の手紙は、書き振りがこうもあったろうか」と云々。この部分、原作の本文ではありえない。本人が書いている以上、「もとの本」などと書く訳はない。後代、書写の際の書き加えとする方が無理がない。

・さしもあらし かきなしなめりと本に *「と本に」(もとの本に書かれている) 転写した人が書き加えた

・さしもあらし かきなしなめり *混成本は「なめり」で終っている。これが自筆原本であろう。本人の自筆ならば、「もとの本に書かれている」という語句は有り得ない。

◯昨日、2017-11-17、国立小劇場で神崎流舞の会があった。宗家神崎ひで師、三十三回忌追善である。いわゆる地唄であるが、神崎美冬さんが地唄、黒髪を舞っておられた。その解説に、和泉式部の名歌、「黒髪の 乱れも知らず うち臥せば まづかきやりし 人ぞ恋しき」があった。

酒井雁高(がんこう)学芸員 curator, professional adviser of ukiyo-e

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[浮世絵学]文化藝術懇話会  浮世絵鑑定家
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