浮世絵学00/笹紅の上限(江戸)酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人) [HP: ukiyo-e.co.jp]
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浮世絵学00/笹紅の上限(江戸)酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人) [HP: ukiyo-e.co.jp]

酒井雁高 (酒井好古堂主人) 学芸員

2014-11-04 SAKAI_gankow, professional adviser of ukiyo-e, curator [ukiyo-e.co.jp]

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◯笹紅(ささべに)、女性の下唇に濃く口紅を塗り、笹緑色に光らせる化粧法。上方では、既に使用されていた。

これまで、多くの研究者が美人画(英泉など)を調べた結果、江戸で、文政初年(1820s)に使われていたことが判明している。

実は、それ以前に笹紅は使われていた? 美人画でなく、役者絵でも女形(おやま)が紅を使っているからである。ここに盲点があった。

役者画の場合、複数の役名(役者)から年月を特定できる

◯國貞の作品

文化8.07(1811)二代沢村田之助(1788-1817.01.28)*田之助は、江戸に下った時、上方の流行を取り入れたと推定される。

文化9.06(1812)四代目瀬川路考(1782-1812.11.29)*路考は、6ヶ月、笹紅を流行らせた。

この発見は太田記念美術館/国貞(本来は、國貞)展図録の巻頭文(新藤茂著述)に書かれている。

非常に重要な論文なので、ここに紹介する。

◯1811-1812以前、笹紅は使われていない。

肉筆でも全く同じ結論が得られる。例外ではなく、1811-1812以前の肉筆に笹紅が施されていれば、偽筆である。

即ち、最近、TV、新聞などで報道された、無款(「歌麿」と断定)無外題(「深川の雪」と断定)作品は明らかに偽筆であることが分かる。

何故なら、歌麿の時代、笹紅は施されていなかったにも関わらず、この偽筆の美人には笹紅が施されている。

◯真偽

真筆、偽筆の判断は、プロの領域であり、全くの門外漢は埒外に置かれる。

同意を求めるものではなく、まして多数決などで決められるものではない。

コペルニクス的な科学的証明、また感覚であって、埒外の人には幾ら云っても分かるものではなく、全く理解できないであろう。

飽くまでもDNAを研ぎすまし、自分自身で偽筆を見破る以外に方法はない。

また、同様に真偽は偽筆者と対峙して、戦う訳であるから、優れて感覚の領域になる。

笹紅は、感覚とは違い、客観的に真偽を判定する判断材料となる。

 

何かお気づきの点があれば、御教示ねがいたい。

酒井 雁高(がんこう) 学芸員 curator

浮世絵・酒井好古堂   [HP: ukiyo-e.co.jp]

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