浮世絵学01/偽筆20/落款(戴斗改爲一) たいと改ゐいつ_白拍子 北齋館 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人) http://www.ukiyo-e.co.jp/32683
ホーム > 浮世絵学01/偽筆20/落款(戴斗改爲一) たいと改ゐいつ_白拍子 北齋館 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人) http://www.ukiyo-e.co.jp/32683

浮世絵学01/偽筆20/落款(戴斗改爲一) たいと改ゐいつ_白拍子 北齋館 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人) http://www.ukiyo-e.co.jp/32683

1982-05-25現在(2019-01-10更新)  ✓検索 浮世絵学 ◯◯  http://www.ukiyo-e.co.jp/32683
酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人)   http://www.ukiyo-e.co.jp
SAKAI_gankow,  curator,  professional adviser of ukiyo-e
Sakai Kohkodou Gallery, the oldest gallery of ukiyo-e in Japan  

以前から不思議に思った肉筆(白拍子)と挿絵(傾城傾国 女伶)の違いについて纏めてみた。

この肉筆を真筆として、日本外国を問わず、彼方此方で、展示、掲載しているが、下記の要件を解明できない限り、かなり疑問である。

但、筆者は現物を直接、見た訳ではない。その点、誤認、誤解があってはいけないので断っておく。

◯葛飾戴斗(たいと)改爲一(ゐいつ)筆/白拍子(しらびょうし)(小布施北齋館所蔵)

落款:葛飾戴斗改爲一(ゐいつ)筆

*戴斗改爲一、この落款は文政三年(1820)/角版/空満屋連和漢武勇合で確認できる。年代が確定している。

*なお、爲一(ゐいつ)号は、談林俳諧の宗匠・谷素外(1734-1823)(90)が戴斗(たいと)の還暦を祝って命名したものである。

年月:文政三年正月(1820.01) *改名直後 **浅草寺奥山麦藁細工(引札)(文政三庚辰年三月)

判型形態:肉筆 98.0 x 41.9cm

外題:白拍子(しらびょうし) *原画に白拍子と書かれていない

*何故、白拍子を描いたのか

白拍子(しらびょうし)の肉筆は「戴斗(たいと)改爲一筆」とあり、改名直後、即ち文政三年正月(1820.01)を示している。

(雁註)しかし同図と考えられる挿絵があり、妙な感じがする。本来、肉筆と版画は、それぞれ別々に描かれたもので、同図があれば、肉筆作品は版画作品を模写したということになる。冨嶽三十六景の神奈川沖浪裏と同じ肉筆があれば、後代、誰かが版画を基に肉筆で描いたということになる。原則として、肉筆と版画で、同図があること自体、有り得ない。

1、下記のように戴斗は「傾城傾国 女伶」と刻しているにも拘らず、なぜ、肉筆の外題は、白拍子となっているのか。これは後代に付けられた外題であることを示している。しかも、肉筆の眸(め)は、瞳が描かれている。挿絵の眸(め)は、全体が黒くなっている。

2、肉筆では右手と左手の長さが不自然である。同様に太刀の長さも、不自然に長く描かれている。

3、立烏帽子を顎(あご)で結んでいるが、紐が正確に描かれていない。骨格、特に肩甲骨から円筒状の襟首が描かれておらず、人体描写が全く出来ていない。これは尤も大事な描写のはずである。肉筆は襟首が描かれていないので、烏帽子の紐が顎(あご)に結ばれていない。挿絵(版画)は、正確に結ばれている。

4、長い下げ髪(さげかみ)の末端も、肉筆では妙な黒い塊になっている。紅長袴を佩び、手に蝙蝠(かわほり)を持つ。

5、特に太刀の拵(あつらえ)、柄巻きした柄(つか)の手貫緒(てぬきを)が柄に結ばれていないように見える。太刀は、錦包籐巻(にしきづつみとうまき)。肉筆の描写は正確でなく、何か妙な具合である。

6、蝙蝠(かわほり)(地紙の片面に骨のある扇)の絵は、扇の端から食み出している。実際に扇を知らない後代の作者が描いたことが分かる。拡大してみると、明らかである。水干の裏地が赤く見えているが、これも偽筆作者が考えたものであろう。水干は裏表、同じ生地であると思う。

7、紅の袴(はかま)、水干(すいかん)、単(ひとえ)の挿絵は、戴斗(たいと)期で、かなり癖のあるジグザクの描線であるが、肉筆はそのように描かれていない。しかも右、左の水干の綴じ紐が不自然である。特に左手の水干の袖、綴じ紐は全く機能しない。水干を全く知らない後代の人物が描いたからである。

8、後方の帳の布は、肉筆では全く描かれていない。これも妙である。

9、この肉筆が何年何月に展覧、図録などに掲載されたかの経歴(プロブナンスと称して、最も大事な要件である)を調査することが不可欠である。

*1977に掲載された記録が最古のものである。最古の図録が手元にないので、昨年、展示された図録の図版と比較して欲い。

*現物を直接、見ないで判断することは差し控えたいが、かなり以前、見た記憶がある。但、詳細については記憶が定かではないことを

お断りしておく。

なお、私の調査で判明した肉筆目録を下記に掲載する。重複するものがある。

戴斗(たいと)/肉筆総目録 2018戴斗(たいと)/肉筆_総目録_64項目  

爲一(ゐいつ)/肉筆総目録  2018爲一(ゐいつ)/総目録_肉筆_81項目

___________________________________________________________

◯戴斗/傾城傾国 女伶

落款:北齋改葛飾戴斗[ふしのやま] *よしのやま、誤読

刊年:文政二年卯春(1819.01)

外題:北齋漫画九編

版元:竹川藤兵衛、英屋平吉、永楽屋東四郎、角丸屋甚助

内題:傾城傾国 女伶*

*女伶は、楽に合わせて舞う女性の意である。本来、舞台(神殿)に登壇できるのは、男だけである。そのために、女性が烏帽子を被り、男として舞っているのである。

*下記の挿絵(版下画)の同図を翌年、肉筆で描くこと、これは有り得ない。冨嶽三十六景の凱風快晴(版下画)を翌年、肉筆で描くことも不可である。本来、肉筆と一枚絵(版下画)は別々である。同図は有り得ない。あれば、後代の偽筆と考える他ない。

何か御気付きの点があれば御教示ください。
酒井 雁高(がんこう) 浮世絵・酒井好古堂主人 学芸員 curator 
浮世絵・酒井好古堂 浮世絵鑑定家 [浮世絵学] 検索 http://www.ukiyo-e.co.jp 
SAKAI_gankow,  curator,  professional adviser of ukiyo-e
文化藝術懇話会 
100-0006東京都千代田区有楽町1-2-14
電話03-3591-4678 Fax03-3591-4678
E-mail: gankow



アーカイブ

コレクション

新着情報・新着コレクション