◇浮世絵〈過ぎ去った江戸の古き面 影〉

ごく普通の江戸の人々の情緒は、中世の重苦しく、はかないものではなく、とても浮き浮きとした大らかなものでした。浮世絵という言葉は、文字通 り浮き浮きとした楽しい世の中の絵という意味で、歌舞伎とか吉原とかの当時の人々の日常の楽しみが描かれています。江戸以前の絵画は、大名、公家のものでした。庶民のものでは信仰を主とした稚拙な仏画が専らでしたが、需要が増えるにつれて次第に木版画となりました。

版画の製作は、絵師、彫師、摺師などの多くの技芸家らの分業によって作られます。版画は、5,6枚は必要で、裏表に彫り、摺師は特に20数回の手間を掛けることがあります。

宝永年間(1710年代)以前は、単に墨一色の木版で、それに筆彩色しました。その後、多色摺に必要な「見当」(摺るときの位 置を決める目印)が工夫され、紅色、草色、黄色を珠とした2〜3色摺の紅摺絵へと発展し、明和年間(1760年代)に錦絵と呼ばれる10〜20数色の多色摺りが発明され、以後明治末期(1890年代)まで続きました。浮世絵を改めてよく見ることによって、私たちは過ぎ去った古き日本の人々の風俗、習慣、歴史の面 影を学ぶことができます。

 


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