浮世絵学04/絵本時世粧(ゑほんいまようすがた)_1802(享和2)豊國/絵本時世粧 乾坤 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂)https://www.ukiyo-e.co.jp/97352
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浮世絵学04/絵本時世粧(ゑほんいまようすがた)_1802(享和2)豊國/絵本時世粧 乾坤 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂)https://www.ukiyo-e.co.jp/97352
浮世絵博物館に原本があったと思うが、いま手元にないので、復刻本(1916風俗絵巻・図画刊行会、久保田米齋)を転載する。
やはり、豊國は役者、美人、両者に非凡の腕を見せている。三馬(1776-1822)(47)は閲覧?。
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豊國(1769-1825)(57)
*1802(享和2)絵本時世粧 *いまようすがた
*1802(享和2)豊國/絵本時世粧 乾坤 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂)
豊廣(1765-1829)(65)
*1804(享和4)絵本東わらは
1804(享和4)豊廣(1765-1829)(65)/絵本東わらハ_上下 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂) *江戸の諸寺社の歳時記
蔦重(1750-1797)
哥麿(1750s-1806)
*1804(享和4)青樓絵本・年中行事 *本書は、豊國、豊廣の絵本を参照している
一九(1765-1831)
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詞書など翻刻をしたが、かなり難読の部分がある。歌川豊國著とあり、三馬は閲、点検した意であろうか。
これだけの著作が出来た豊國は、戯作者と見ても良い。豊國は、素外から板元・和泉屋を紹介されている。
浮世絵博物館に原本があったと思うが、いま手元にないので、復刻本(1916風俗絵巻・図画刊行会、久保田米齋)を転載する。
やはり、豊國は役者、美人、両者に非凡の腕を見せている。三馬(1776-1822)(47)は閲覧?。
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豊國(1769-1825)(57)
*1802(享和2)絵本時世粧 *いまようすがた
*1802(享和2)豊國/絵本時世粧 乾坤 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂)
豊廣(1765-1829)(65)
*1804(享和4)絵本東わらは
1804(享和4)豊廣(1765-1829)(65)/絵本東わらハ_上下 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂) *江戸の諸寺社の歳時記
蔦重(1750-1797)
哥麿(1750s-1806)
*1804(享和4)青樓絵本・年中行事 *本書は、豊國、豊廣の絵本を参照している
一九(1765-1831)
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詞書など翻刻をしたが、かなり難読の部分がある。歌川豊國著とあり、三馬は閲、点検した意であろうか。
これだけの著作が出来た豊國は、戯作者と見ても良い。豊國は、素外から板元・和泉屋を紹介されている。
素外(1734-1823)(90) *素外が豊國に和泉屋を紹介した
哥麿(1750s-1806)(50s)
一九( 1765-1831)(67)
豊廣(1765-1829)(65)
豊國(1769-1825)(57)
三馬(1776-1822)(47)
山陽(1770s-1836)(60s) *芝の屋
素外(1734-1823)(90) *素外が豊國に和泉屋を紹介した
哥麿(1750s-1806)(50s)
一九( 1765-1831)(67)
豊廣(1765-1829)(65)
豊國(1769-1825)(57)
三馬(1776-1822)(47)
山陽(1770s-1836)(60s) *芝の屋

(雁註)式亭、年玉(としだま)

画帖時世粧(ゑほん いまやう すがた)
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ならの葉の名 におふ宮の集をはしめにて 神楽 催馬楽 はた
古今集の國哥なとハ國民の云はやせる ことくさを えらミ出たる
物とこそ聞つれ さらは 今もなほ 馬追農小室ふし 舩長の舩哥
やうのうたひものを撰なハ 萬を もてかそふとも つきせし こゝに
ものせる時世粧(イマヤウスカタ)てふ ふミハ たときより いやしき末て あると阿る女(ヲナ)の
かたち よしあしのさまを 空ミつ やまと画にうつし とりかなく あつま
錦に すり出たる物にそありける そがはしつかたに うた人のはまなひ
志て つたなき加んな文 ミつゝるとも あなおこかましと 人いらへならぬも
なまよミのかひなきわさなれハ いたつらに筆をはするも ほいにハ
あらしと あまさかる ひなの詞 むくつけく いやしけなるさまを 一つ
ふたつ ひろひとりて いとくちのことはとハ なしぬ やことなき 簾の
うちのおワらひにハ なかなかに 志ろし▢め さ▢こそ 直ゆかしけれ
こハ いにしへふりの うたよミすなる 萬葉体のくちまねにして
間合ふりとも おもひ給へかし 志き亭の翁かいふ

序
絵の事さあ 素(志れへ)を後に▢るだあちふ うら阿
はあ 志らぬ古んだども 物志りのおんぢいたちの
咄さで ちく登ん▢い 聞かぢり 侍る 楚れさ
中にも倭画(やまとゑ)ちふものは もの菱川の氏
より おり始て 西川の流れ ふたつさ ワかれてより
物さ うつ換り 星のうが良 うつ李て 阿に
は阿 今土器の お画工どのは げへに名人だあ
から其名の高きことは 譬て見べいなら
冨士の山のす▢つべんから てんぢよくの雲の
上さまで 突抜たるが如し もの哥川の
豊國せなが たくミ出て あらゆる女子の客
さ 物して あへだがれ かだがな ゐろゐぎやう
なる ふとの加たちの▢つけて うらにも
見ろてゝ こされぬるにぞ おい▢れへ 見るに
おやつかな うつたまげはてたる ぎいそに

ぞありける おふとがらのべうつきのう 引ぱつ
たる お志やうさまの あれバ お志やくたちの
志よれめけるありさま なかなかに めましろき
もならず これを絵志やうしに とぢたもの
ならバいか なぐさミになるべものをと 氣(き)ゐ
つけるぬにぞ 豊國せなごも ぼのくぼの
づでんどから 加ゞとの うつはづれまで ぞう
ぞうして われ さう思ふだら うらも その
——————————————————————————————————–
志ひていだあ によて あ志よにも 加志よにも
たのミまうす▢ さちに 志めかなる
せい▢のおやかたどのに さいくれべちふ
ものし亭けるが あんぞ 名のりのある
べい 阿んちうことが よかい ゐがな もの志りの
ふとに きくべかれなど やきもきとする
を こらあ はたから見てべいも 居ら連
まうさぬハ ふとつ ひたつ 口のう さん

出へて あにそあ すうさこハ ござへねへ もの
いまやうこがたが よかつへとて そのまゝ
くいつけて侍る ミんなが見てくれせんよ
ことの こなゑしやうしを 見てくれせへよ
古な ゑしやうしをといふ
志き亭の翁
萬葉体の詞は 続物にワからず 骨を折ては に及バず
ミつもワからぬ事を書バ あづまなまりのどさことばハ
ワからぬうちに一興あり アントおんぢい そうどんべいがのんし
門人 楽山人馬笑書
—————————————————————————————————————————-
面開春月満
眉抹遠山斜
一笑既相許
何須羅扇遮

(雁註)官女 十二単衣(じゅうにひとえ)

(雁註)奥方など、大奥を描いたため、後ほど、絶版となる。
奥方 おそば お中老 ゆうひつ
*おそば、役者絵を見ている

妾おもひもの おつき こぜ(ごぜ)おどりの師匠 おどり子

お中居 和哥の師匠 おすへ 志んめう 部屋方はした
(雁註)志んめう?

町人上品志うとめ 町人の嫁・上 町人の妻・中品 町人の娘・上品 下女

中湯(女中湯?)
町げいしゃ 花うりばゝ きもいりかゝ 子もり 月きわめのかこひもの めか希(け)の目見江(めみえ)

裏すまゐノ一
わたつみ下細工 ばゝアどの かゝア左衛門 のり賣かゝ 稽古所の娘 名とりの師匠

其二 うらすまゐ
かこひもの うば 山出し・下女 せんたくや

それ者(しゃ)のはて ワか古け(ごけ) 小娘 こまものや ゐんきよびく尓(びくに)

茶屋娘 楊弓塲娘 枝豆賣 女かミゆひ

おもり おつぼね ひめ君 和歌としより やうじやの娘 お小性(小姓) いちこ

隣村のおばさん 長作おんぢいの後家 せなアご乃花嫁

歌川豊國作
女は髪のめでたからんこそ 人のめたつべかめれ 人のほど▢ごへ
などハ物いひたるけはひにていう物ごしにも志らるれ ことに
ふれて うちあるさまにも 人の心をまどハし すへて 女のうち
とけたる いもねず身を於しとも 思ひたらず たゆべくもあら
ぬわざにも よくたへ 忍ぶハたゞ色を思ふが故成 まことに
愛着の道その根ふかく 源とをし 六塵の楽哥多
しといへとも ミな厭離志るべし 其中に 只かのまどひ
のひとつや めでたきのミを老(おひ)たるも若(わか)きも智あるもおろか
————————————————————————————————–
なるもかはる馴なしと見▢る されバ女のかミ
すちをよれる綱には大象もよくつながれ女の
はけるあしたにて 作れる笛にハ 秋の鹿かならす
よるとぞ いひつたへ侍る ミづから いましまえて 於そる
▢てつらしむべきは このまどひ也とハ うべなるかな
ならびが岡の志れものが詞も もとづきて 鵜の真似
する鶏にあらで にくまれ口ニ ひとつふたる 女の
身のうえへを それかれとなて かいつかるに たつとき
宮仕へする人々は さらにもいはず はた志も
つかたといへども ことごとくは いひもつきざれバおの
(雁註)豊國作とあり、文章も豊國が著したか

あらましを いはゞ 奥勤の女中さまざま あるが中
にもはしたなどいふものは わづかの取替を得
て萬の事も自由ならす 青梅(あをめ)棧留(さんとめ)の古着などを
此うへもなき綺羅と心得 打敷の裂ともいふべき裾
模様の古ま切れを寄割ていれたる帶を やの字に
結び もミの細ぐけは 欅(うはらき)と腰帶とにふりわけ 常
に頂物をならひ落さんと欲して仲間の突合はづかしく
出しツこの借金 買喰のためなり いつもお宿に尻
をぬぎハ▢ 鳴子の音を聞ては 小間物屋の誂(あつらひ)を
思ひ田し お鈴の音を聞ては お下りと おどろく
———————————————————————————————————
下掛りのむ諾智はお錠口にからまして 男の評判
は部屋部屋に絶ず曲物入のあまざけ土鍋の中ニ
古げ付キ 米かしく手もとは 上ヶとぎの手拍子に
うかれて流るゝを志らず たまたま流行(はやり)唄をきゝ
▢て 在郷節(ざいごぶし)のいやミなるを 野暮(やぼ)と安んじ
すハ翌日(あした)いづかたまでの御出(おいで)あるよしを觸(ふれ)れバふて
寝の頭痛たちまちに快(こころよ)くそまでの佛頂面(ぶつてうづら)頻(しきり)に
につこりと變(かハ)る下村のおしろい枩本の岩戸香柳
屋 玉屋が紅粉びんつけは 一番 二版と▢▢
水油のとくりは札附にして銭をくゝりつけ

たり 是 小使の僕に足駄をはかれまじき為
とぞは▢▢序(ついで)に宿まで鳥渡(ちょッと)まちなしの文 云
板行におしたるごとく お手本の外 通用の文章
なし 幸ひにお宿下りの供して漸(やうや)く役者の
顔見る事を得て 家名(いへな)俳名(はいめう)のきいたふう 我勝に
志り自慢をならべ 色男を贔屓(ひゐ)て 敵役を惡(にく)がり
贔屓贔屓の言つのりたる果は 争論(いさかい)を仕出すなど
実に部屋方ことのゝ氣せんじともつべき也
その口まめに引かへて おもおもしき襠(うちかけ)して下町
からめしう呼(よバ)るゝ和哥の御師匠▢附き行度と実は
———————————————————————————————————
にあがり兼題の詠草 當坐の添削ハ雲立
いつも八重垣濱のまさごで 間に合すると思へば
ひとりおかして 六儀(りくぎ)ハ体は和歌式のおもてにまかせ
湖月抄の垣のぞき志て 源氏物語を講じ契
冲(けいちう)阿闍梨の説といひ岡部大人の申されし
など罵(ののし)りて見臺(けんだい)にさし向いて己のミ うた
よミがほなる客は 女医師のかほ付たる方彙(ほうゐ)を
こゝち手引草 重寶記(てうほうき)茶談を見ながら仲景
思▢)しばく)が妻(かゝあ)にもなるべき顔して似ても似つかぬ
長羽織着て脈論するに ひとしからずや

津らつら流行のありさまを見るに 丁子茶染の
縮緬は煤竹(すゝたけ)色の織と街(ちまた)にすれ違ひ
紫縮緬の上着のしほぐけの腰帶ハ本面縮
に黒繻子(じゅす)の帶と行合ふ 髷の結ひやうハ骸(からだ)よ
り遥に大きく志て志ぼりばなしの髷結 價(あたい)
を聞▢は親父が肝を天外へ飛バすも宜(むべ)なり
ぴらぴらのかんざしは 半白髪(はんしらが)の後へ杖と倶(とも)に
実張りて たぼ形の新製あれハ 又其上の
木細工あり 種々さまざまの仕出しの工夫 年
々にかハり月々にかハりかハりの月囲 或は妾奉
———————————————————————————————————
公の悪志つこく極彩色の厚化粧は口入婆の
辨舌に似て いつもぬつぺり 小つぽりの下駄を
鳴らす 湯返りの町藝者は あらひ粉舞臺
番のいやミなし 艶な素顔の薄化粧に新形
のはやり出しハ 人先に着物とつさんにおまんま
を焚(たか)せて食(しょく)このミの我儘を云ひ かゝさんの贈り
迎をさせて小言(こごと)の八百をならべる亭主の▢
里扶持にも足らねハ不断へこミ 勝手なり 兎
角 浮世は名を取るより徳を採れ徳を取る
には名をとれと一に御器量 二に志やうくら

三に三味線 岡嵜の糸道わかりてより 追欠競(おっかけくらべ)
のペンペコも習ハふよりは馴そめてと 淨瑠璃
二三段も上るとはや 何の何某 師匠号
の一次を乞受 樫の木の表札は醫者農
門ト口と間違 風鈴のある黒格子ハ鹿戀(かこひ)者
そ隣りて さらにワからず 直傳の章句
一向はchくちゃにして 酒を呑む事 恰と長
鯨の百川を吸が如し 店者(だなもの)の一口 稽古にハ
銅壷(どうご)て 手拭をぬらして 湯返りのミせかけ
を古しらへ お屋鋪と見ては いやうし文句
———————————————————————————————————
に床びらきを 古じつけ出来合の摺ものに
百疋のいたでをせしめ 花會(はなくハい)の惣割 以(もって)の
ほかに貴(たつと)し貰つた酒をハり連にふるまひて
肴をおごらせんと欲しノラツキ連中をとら
へては物見遊山 無理無体にか古つける
▢ 是は琵琶葉湯の本家 烏丸の元祖
とや つはひ 其取次處といふは 色氣しつかり
正札附近處名代の楚ゝ里 乳母さし乳(ぢ)
垂乳(だれぢ)の差別(しゃべつ)を論ぜず 子煩悩を第一と
思ひの外の 高給金 下乳じけの別物に

古ゝ路付なきを ふて寝に見志らを二親
への意趣をもつて 抱た子にあたりちらし
旦那も喰ハぬ美味をあまんじ たまたま
乳の不足する時は 氣苦労にかこつけ
色事の取持は早く請合て直に古しらへ顔なり
うどんやの八公かけ請けの長た也 最(もっとも)親し
くして田舎の亭主をぼんくらと賤しめ
舩頭への傳言(ことづて)きハめて麁言(ぞんき)なり 廻りの
髪結どん始終の世話を更合せ洗濯屋農
おばさん一寸出合の幕を切らせるなど口元
———————————————————————————————————
の捌(さばき)にしてその甚しきに至りては伴頭殿
三十年の萬苦 一時の夢に▢り手代が
十年の千辛 暫時 棒にふるの類 吁(あゝ)お
そるべし 日向ぼっこの はだ口は人のあら
を探して土藏(くらの)落書一氣しめしを
當▢わる事 ぶせう也 くちのするどき事ハ
車力(くるまひき)の悪口を返答にて 呉服屋の腰掛
を塞で賣塲の若ひ衆にしやうつき 茶
伴の茶をかわかし 壷の煙草を捻つて
盆煙管に吸つけ三百五十番の傘 借

▢▢切り返さず かゝる浮虚の生質にゝて一
年三百六十日 夢でくうすもいつしかに 破鍋
にも▢蓋(とぢぶた)の縁ありて 九尺二間(くしゃくにけん)の棟割に
巣作り する それそれの禍福によるべし さ
れバ氏なくして玉の輿(こし)とやら たとへのごとく
きのふの下女はけふの御新造(ごしんぞ)寒の内
吹貫で暮した娘も羽二重の不断着(ふだんぎ)
して栄耀に餅の皮をひらく そのいにしへを
たづぬれバわづか三年季を二▢二朱の子
守奉公 真岡木綿の継々の衣(べべ)に袖なし
———————————————————————————————————
羽織に十文字をかけてくたしかりけれ 子には守も
せで おのれが いあかつく このミふけり 鬼渡しの頭取
男の中の豆入とはやされ盆踊の後立(あとだち)となり
ては世話約顔に▢やはり出 泣子は番太郎で
たらし天窓(あたま)をたゝく事 平氣にして評判
のあくたれ者も鬼も十七どこやらが惡(にく)からずと
紅白粉でミあがきよれバきのふはけふのあだこしらへ
水浅黄(ミづあさぎ)の前垂に冨士色のじゅばんの襟まづ ざっと
小意氣なるとりなり楊弓塲の数取も孔を取違
て勘定の損 亡とびとびあり▢し小口を呑込と

はや矢を拾ふ尻つきまで▢しの所作(しょさ)をくはへ
太鼓ドンドンとる お客を見くびりて左りの手で
カチリなどゝ高慢に射當るも お里が志れぬで持
た ものと夫とおなじき楊枝屋娘は招牌(かんばん)楊枝
にひとしき太い手して金槌(かなづち)持て口を▢覆(おほ)ひ お
かしくもなきにに むしやうと笑へバ ゑくぼの穴へ身
も投る氣の大たぶさ 見世先にたへず 大縞田ハ
いつも手拭につゝミ緋縮緬の襷(たすき)は半身にかゝる
自惚鏡に口紅粉を繕ふ姿まことに いきた
錦画(にしきゑ)じゃと現をぬかし鼻毛を房やうじほど
———————————————————————————————————
のばして誰もたのまぬ鳩を追てやり吸付たば
このつけざしハ御神馬(ごじんめ)の御幣(ごへい)よりありがたしと
頂くは実(げ)にも女の世の中どうし茶店の姉さん
ハ芳簀(よしず)の方を向(むひ)て弁當をわんぐりとたべ
ながらヲヤ源吾(げんご)さん きついお見限りとは お定(さだま)りの
いやミ也 御休所の行燈(あんどう)ハ千客萬来の背中
合(あハせ)に隣の茶屋に垣間見ふは茶うけに
あらぬ 梅干婆が仕合(志あハせ)ヤとなりぬ 女の髪結(かミゆひ)は
油志ミたる帶、毛筋立におなじく横の方ニ結び
て閙(いそがしく)走り志やんと志たる娘は咽(のど)が太竿(ふとざほ)

稽古と志られ稽古淨瑠璃の御簾御閉帳(へいてう)ので
出語りの見臺(けんだい)ハ見物よだれを流す 又ぐにや付て
いやらしきは おどりの師匠へ通ふと見へて腰に
二本の扇を指(さ)せり 三味線の手真似をしながら
首を振てあるくは唄か豊後尓はげミある子と
見ゆ 市子(いちこ)は髷(まげ)ばよりへ笠をかぶり花うりハ
天窓(あたま)へ一世帯をさゝげ のり賣ばゝハ雀の
下を切たるかとおもふ 彼所(かしこ)尓はんてんを着て
味噌古しを提(さぐ)るあれバ是に黒鴨(くろがも)を連て
駕籠(かご)尓乗る女房あり 娵(志うとめ)は嫁のさきに
———————————————————————————————————
立てするどく見へ實母(ははおや)は娘の後に付て
の秘藏 面(おもて)にあらハる山出しの他所行は軽業(かるワざ)
の娘に似て 江戸ツ子の下女(げぢょ)は おかミさんと間違(まちがふ)
おぶつた子より可愛(かあゆき)や 横に抱たる枝まめ賣(うり)
背中に腹は換(かへ)られぬぞ 風呂敷贔屓たる
女商人(あきんど)声美しき女 按摩(あんま)は見てびつくり
の不器量にて後弁天(うしろべんてん)前不動(ふどう)尼にハ惜(おし)き
美人もあり こゝめかたはより只心(ただこゝろ)古ゝろの
垢(あか)をあらひ落せば美女も醜女も皆同じ
八兵衛がお釜を起すsも▢兵衛が角屋敷

を投るも原(もと)是(これ)女よりなす業なり 美しき
とて迷ふべからず 醜(ミにく)きとて癈(すつ)る事勿(なか)れ
只想ふ紫野の和尚が教戒(いましめ)尓違(たが)ハず
夫御用心〵
繪本時世粧 上之巻 尾



二八佳人巧様粧
洞房夜々換新郎
一隻玉手千人枕
半點朱唇萬客甞

(吉原遊廓)ふり袖新造 おいらん ばんとう新造 かぶろ やりて 志んぞう

おいらん かぶろ 茶汲女 茶やの下女 おいらん

其續 仲街(なかのてう)茗舎(ちゃやの)圖 附り藝者仁和歌 げい志や 茶屋女房 兵庫屋(行灯)

かぶろ おいらん おいらん お針 引込禿 女房 女あんま

其次 河岸見世(かしみせ) 此外ハ畧ス
女うら加た 女商人 女ごふくや おいらん

(品川)南濱なんぴん 小・せうトいふ 大 女げいしや 大

同 四寸

辰巳・ふか川 娘文 廻し方 はおり さしの有無をうかゞふ 京下りの志んこ 口のかゝつたこども

同妓舎・こどもや
買込ミなる子 ひまで居る子 とやについた子 明て婦つた子 用事ヲつけ子

甲驛・志ん志ゆく
こり性な子 ぜうなしの体 うハきな性 引まゆ おとした子 こぢよく 客をおくる

ろじ四時限・あねさん

(雁註)舟饅頭 舟で客をとる

(雁註)豊國作とあるが、詞書は三馬が著している。
北方に佳人あり 一たび▢(ゑめ)バその城を傾け二たび
歡(よろこ)べハその國を傾くとは美女を賞(ほめ)たる詩を今の
遊女の名に呼ぶを契情(ちぎるなさけ)と更(あらため)しはワが本邦(ひのもと)
のいさ▢な里 或はたハれ女、とかれ女と云ひ或は
傀儡(くぐつ)あそび女と、名はかハれども川竹の流のふし
のうき枕いづれをいづれ定めなくかハす枕の
一夜妻げに煩悩の虚(うそ)の止み 実想の誠の月迷ふ
も悟るも此君にして江口神嵜のむかしむかし高尾
——————————————————————————————————–
うす雲の後の世にいたるまで身は中流
の舩にひとしく てくだの帆足をかけ川
はづし川 客は機嫌をとり かぢおもかぢ
地色の暴風尓そらされて終(つい)尓は密夫(まぶ)
のつかミ尓はまり事おのが身をはたす事
詩ばしば也 是を想へバ板(いた)子一枚上の住居(すまゐ)
凡蒲団三ツの上のくらしも おない道理
尓てそあれ 花はさか里の仲の町(てう) つきは隈
なき茶屋が二階にのミ見ることのかハ色

客のもの思ひにうち詩ほれたる すがた
を見ては心のくもり尓 泪(なミだ)の雨を催(もよほ)すなど さ
ながら月花の詠(ながめ)尓や 末さるべ支 されバ紅粉(かうふん)
に おもてを粧ひ錦繍にすがたをかざ里
琴棊書画尓心をゆだねてヲスザンスの
里なまり雲上に高くして甚(はなハだ)世事に
疎し常に伴新の言を守りて魂膽(こんたん)手
くだのかけひきをおぼへ 内所(志よ)やりての
氣兼 氣つかひ 茶屋舟宿のつけとゞけ
———————————————————————————————————
假令(たとひ)ゆもじハはづずとも傍輩(ほうばひ)の義理は
たゞしく昼見世の座は乱るゝとも交(つあいひ)乃
禮をミださず 四時(志いじ)農苦労十年乃辛抱
やりてが志かる言尓似て實にあまくちの
事にあらず そもそも大堤羽織と倶(とも)尓
ながく又客の鼻毛尓似たり 鼻唄こたふ
日 和下駄の音は按摩乃笛をあらそひ
宙を飛バす 四手(よつで)駕籠(かご)は田町を上ツて
より寛(ゆるやか)なり 茶屋が床几(せうぎ)尓物あんじ

なるは勢かれし内の首尾(しゅび)をおもふやと
志のばしく夕(ゆふべ)は衣紋(えもん)坂にかたちを繕ふ
て悦(よろこ)ひ顔なるも見返り柳の糸にひかるゝ
きぬぎぬのおもひ希(げ)にや喜怒哀楽の四
の街(ちまた)行くも歸るもわかれてハ志るも志ら
ぬも大門(おおもん)に入り來る客乃心といふは千差(しゃ)
万別さまざまなれども 皆惚られたる心にて
色男きどりならぬぞ なきすなハち是が
たのしミの要にて野暮(やぼ)もなけれバ粋(すい)も
——————————————————————————————————
わからず粋がなけれバ野暮もワからず 只
何事も入家我入の粋(わらい)に粋 意気と不
意氣を噛(かミわけ)て は里(張り)といきぢ(意気地)のよし原
に禿立から見ならへる情の切賣 戀のせり
賣 強飯(こハめし)くさき頃よりも 古わき やりてが目
を志のびて 志のびしのびのさゝめことも 浮虚(うハき)の
風に吹ちらされて果は折檻(せつかん)のからき目
見るなど勤の内のたのしミとて いゝながら
後の苦しミいかばかりぞや 早つき田しの

身となりても百倍の辛苦 筆にもつきず
いつまでか斯(かく)内所がゝ里にて住果(すミはつ)べくも
あらしと為になる客にたのミごとして
心に思ハぬ指切(ゆびきり)断髪(かミきり)空誓文の千枚起請(きせう)
は烏につもらうも耻(はづか)しなどと義理に
せまりし不心實をまざまざしく いつはり
あるひは かき 又よそのぼさしめて 夜具は
誰人 敷初(志きぞめ)の蕎麦ハぬしさん新造出
しは何某の君と夫々に くゝり付る
————————————————————————————————————
それか中にも何屋の誰と名たかき契情(きミ)
は殊更に心を王(わ)しく後より追(おハ)るゝ心地して
紋日 物日の胸につかへて癇癪の病ひ間
なく時なく▢(おこ)里 待人の呪(まじなひ)をたのミに
思へとも畳算あたりも不思議 あたらぬも又ふ
仕合の紋日前ハ上手ごかしに迯(にげ)たるゝあれバ
色仕掛に捕損(そこな)ふ事あり 朝精進は親
のために堅くつゝすミ 塩物禁(だち)▢▢也 男
の為に守る事 きびしきも彼川柳(せんりゅう)点の

むべなるかな 孝行にうかれつる身もすへすへハ
不孝の人にうけ出(いだ)さるゝ一生の貧福は悉(ことごと)
く定(さだま)りありといへども羅綾(らりやう)のたもとといつしか
つぎ合せたる つゞれをまとふもあれバ左迄
よき位にもあらぬ局見世の流れのすへに
黒鴨つれたる玉の輿(こし)に乗るも諺に云へる
人の行衛と水の流は志れがたきものなり
古ゞにある大人(うし)のよミ給へる哥とて吉原
の春の夕暮來て見れバいりあひの鐘
————————————————————————————————————
に花ぞ咲けるとな舞 花の色香をうばひ
たる道中すがたのたをやかなるは天乙女(あまつおとめ)の
くだれるよ見とうたがひ つんつんたるおいらん
中眼(がん)にすましき その内に愛敬(あいきやう)こもりたる
さま田舎道者(どうしゃ)のきもを おびやかすも ことハり
なるかな 両てんのかんざし 禿のおtもたげに
ふりかへる姿はた 右と左りにきらめき渡る
さまハ空に志られぬ 雪の降たるやと思ふ
若者が肩にかたりて威風りんりんたる鉄(かな)

棒(ぼう)五町分の提燈さきを拂ふがごとく箱
てうちんは若者より大くして茶屋の送り物
に行違(ゆきちが)へて頭上(かしら)にさゝげ くり出す 外ハ文
字 蹴出(けだ)し褄乃縫模様 翩翻(へんぽん)とひるがへり
駒下駄の音は両側にひゞきて おいらん
お目出たふの声 門竝(かどなミ)に繁し 茶屋の
御亭さんは江都へ引なんして内の事に
かまハず おかさんの挨拶 かん高に てうてう
しきを真向(まむき)にうけこたへて 客人を横に
—————————————————————————————————————————
見て行くハ世利賣は自惚のふtつなるべし
たい▢末社(まつしや)が口々尓きつい御勿体とハお定
の愛相に極(きハま)り いざ古はらへをにつ古りに見
志ら勢て 客の脇に座る あれば袖引 煙草
によんどころなく 横に背(そむ)きて腰をかくれバ
伴新(ばんしん)うしろの襟を直して萬事(ばんじ)志こなし
た風あり おいらん長煙管を捻て お客のお噂
べんべんとながし 禿が口上 アノ子アノ子を禁(いまし)むと
時は一言も用を辨ぜず 風呂舗(ふろしき)包の早

まり(あし)は一寸やりくりの使者と見へ 内所 禿
のちよこちよこ走(ばしり)ハてれん茶屋の相圖なるべし
大封(おほふうじ)の文は 一座の捌役にたのミて茶
屋がもとへ 人を走らせ 番新に美人すたなく
振新 後世おそるへき 有て すへ頼(たのミ)なき禿の
ぶ人相は當のなき年明前の女▢と同日に
論ずべし 附金(つけがね)は神棚のおた福とさし向
棒のなき箱てうちん たくむ隙なき茶屋が
にぎハひ二挺鼓も三張(さんせん)もいさ發足(ほっそく)の声
—————————————————————————————————————–
もつとも神をいさめのたいこもちハ客
人の宮先きにたて末社のかミがみ一トむれ
に浮もうかぬもひき立(たつ)る すがゞきの▢
格子にたへず 人の心を二階へ飛ばし
大切の魂を床の内にうばハるゝハ有頂
天にほどちかき欲界乃仙都昇平(志やうへい)の
楽国(らくこく)なりと彼清朝(せいてう)の志やれ者がいへる
も尤なるかな 女色(ぢよ志よく)のまどひは去(さ)里
かたきものぞかし よくよく此道に

あきらかなる時ハおとし穴子 落いるゝ
事 阿るまじ 近く譬へバ先に地主乃
うつがへるを見て 後の店子(たなこ)の戒(いましめ)と
すべし
穴かし古
あなかしこ
繪本時世粧 下之巻 終
(久保田米齋・解説)大奥を描いたため、絶版となる。本書は哥麿(画)、一九(著)/吉原年中行事の二年前に刊行されている。一九は、本書から多くの暗示を請けた。

(雁註)文畫 歌川一陽齋豊國撰 これは文章を書いている意。三馬は閲覧だけか。


何か御気付きの点があれば、御教示ください。
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