浮世絵学04/百人女郎品定_1723(享保8)祐信(すけのぶ)/百人女郎品定、八文字屋自笑_酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂)http://www.ukiyo-e.co.jp/82533
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1982-04-29現在(2022-10-05更新)

浮世絵学:ukiyo-e study  浮世絵鑑定(肉筆浮世絵、錦絵):judge

SAKAI_gankow, curator, professional adviser of ukiyo-e

酒井 雁高(がんこう)(浮世絵・酒井好古堂主人)

*学芸員 *浮世絵鑑定家 📞 Phone 03-3591-4678(東京・有楽町)

酒井 邦男(くにお)  酒井好古堂・副代表    *学芸員     *浮世絵鑑定家

100-0006東京都千代田区有楽町1-2-14(東京・有楽町 帝国ホテルタワー前) 

日本最古の浮世絵専門店

1803葵衛(齋藤秋圃)/葵氏艶譜


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G浮世絵学00 御案内 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂)  Guide

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R浮世絵学00/複製・復刻 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂) Copy and Handmade reproduction 

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V浮世絵学 ミニ動画     Mini-film, about 5 minutes 

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*1946、私、酒井雁高(がんこう)、(戸籍名、信夫のぶお)は、酒井藤吉、酒井十九子の次男として生まれた。生まれた時から、浮世絵に囲まれ、浮世絵博物館に組み込まれていたように思う。1966、兄・正一(しょういち)が冬山のスキー事故で死亡。いきなり、私に役目が廻ってきた。それにしても、子供が先に亡くなるとは、両親の悲しみは察して、余りある。母は、閉じこもったきり、黙ったままの父に、何も話すことが出来なかったという。

*1967、私は大学の経済学部を卒業し、すぐ文学部国文科へ学士入学。何とか、源氏物語など、各種日本文学、江戸文学も多少、学ぶことが出来、変体仮名なども読めるようになった。http://www.ukiyo-e.co.jp/wp-admin/edit-comments.php

*1982年以来、浮世絵博物館と一緒に過ごしてきた。博物館が女房替わりをしてくれたのかも知れない。

*それでは子供、というと、これら浮世絵学、1,211項目であろうか。一所(浮世絵学)懸命、学問としての浮世絵学を成長させてきたつもりである。今後も、御支援、御指導を賜りたい。2021-06-20酒井雁高・識

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日本で最古の浮世絵専門店。幕末の開明思想家・佐久間象山(1811-1864)(しょうざん)が、酒井義好(1810-1869)*よしたか の書齋を「好古堂」と命名しました。1982、酒井藤吉(とうきち)・十九子(とくこ)、酒井貞助(ていすけ)・富美江(ふみえ)、酒井泉三郎(せんざぶろう)・美代子(みよこ)らは、好古堂蒐集品を基として、父祖の地、松本市郊外に、日本浮世絵博物館を創立しました。

父・藤吉が亡くなってから、酒井信夫・雁高(がんこう)、そして酒井邦男が継承し、世界各地で65回の浮世絵展覧会を開催して今日に至っています。皆様のご指導ご鞭撻を御願い致します。

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 *Sakai Kohkodou Gallery  酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人) Japanese Traditional Woodblock Prints  

SAKAI_gankow, curator, professional adviser of ukiyo-e

2022 SAKAI, gankow   酒井雁高

 

2018 SAKAI gankow

 

2020 SAKAI kunio

 

 
*ファックス、使えません。
 
 

1723(享保8)祐信(すけのぶ)/百人女郎品定、八文字屋自笑_

・最善本が、なかなか見付からない。これは複製であるが、原本も丁数がなかったようだ。

・浮世絵学01/落款(すけのぶ)_祐信(1671-1751)(81)/総目録 693項目 DB 酒井雁高(浮世絵・酒井好古堂主人)

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・版本は、185件(国書総目録)

百人女郎品定 大本 26.5x19.5cm *師宣の絵本から暗示を受けて、祐信は師宣を模倣 

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1008 *源氏物語、雨夜の品定から品定(しなさだめ)借用

1678(延寶6)藤本箕山/色道大鏡 全十八 *全国の色里を迴る

1680s(天和)師宣/百人女郎 *[未見]

1695(元禄8)師宣/和國百女 三巻一冊

1698(元禄11)一蝶、朝妻舟を描いたため、流謫 *品定をした

1723(享保8)祐信/百人女郎品定 *師宣の絵本を模倣。

1770(明和7)春信/青樓美人合 全五 *すべて遊女

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・序がある。女帝[にょてい*]、皇后、皇女、内侍…女郎の扱いになっている。 *ふりがな

・八文字屋、祐信、御咎めがなかったか。

・柱刻の下部に「上百女一」ほか、刻されている。

・目録に丁数があるが、絵に丁数は無い。「のど」にも見当たらない。どのように仕立てたか。

・祐信の描く美人の容貌は、祐信の理想の美人、典型が描かれている。

・従って、どの顔も同じ容貌で、似顔ではない。

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上 序

  享保八ツの夘の羽がさ祢のとし

    花の孟春(はやきはる)

                 八文字屋 自笑謹序[龜]

                 大和畫師 西川祐信[祐信] 

  百人女郎上之巻 目録

下 百人女郎下之巻 目録

 三ヶ津(さんがのつ)色里の始

 享保八年夘正月吉日 京婦や甼通せいぐハんじ下ル町 

                     八文字屋八右衛門板

百人女郎品定 繪草紙 西川筆 上之巻 *題簽(書き題簽)は中央

 

(表紙裏)

禁庭に百官百寮の座を

わかて里。古禮より百敷の大宮

人とは訓[よミ]つゞ▢里。美女に百

乃媚あり。貴妃を有聲[うじやう]の花

と誉しハ。遠き唐土農堂たへ。

 

大液[たいゑき]乃芙蓉未央[びえう]の柳。梨花海

棠の祢ふ禮る華。いづれか容色なら

ざるはなし。我日の本ハワ希て女の

風情も免でたく。見ぬ雲乃上の

堂かくやんごとなき玉だれハ。あ希てかぞ

ふるにいと満あらず。そ禮より賤山賤[がつ]

のひきにくだり。紡績をいとなむ民の


家の下司奉公。傾国遊女のいろを餝

れる道しにハあらねど。女職の手業小哥

比丘尼。夜發[やはつ]の類まで巻の末にくハへ

西川氏が筆削をか里。古今女中の

繪鏡草となら無事を祢がふより。いろ

品の堂がひハあれど。凡百花に準じ亭

すぐさ満百人女郎と外題[げだい]す。誠に

 

詞乃花のつまびらか那らづらんハ、世

に阿ま祢く知累所なれバ 

     もらし侍る

 享保八ツの夘の羽がさ祢のとし

    花の孟春

                  八文字 自笑[龜]

                  大和繪師 西川祐信[祐信]


百人女郎上之巻 目録

〇女帝[にょてい]  〇皇后   〇皇女

〇内侍[ないし]  〇典[すけ] 〇おすゑ

〇尼御所   〇齊宮[いつきのミや] 〇おほら子

〇采女[うねめ] 〇女嬬[にょじゅ] 〇半[はした]

〇公卿室  〇公卿姫  〇御乳[おち]

〇女官   〇女中   〇神職室

〇神職娘  〇神子[ミこ] 〇同下女

〇武家室  〇同姫  〇国御前

 

〇女俳諧  〇女醫[をんないしゃ]  〇御髪揃

〇女右筆  〇女工[おものし] 〇瞽女[ごぜ]

〇舞子   〇町人上品室[まちにんじやうひんのしつ] 〇古しも登

〇有徳人室  〇町人中品室   〇商人妻[あきびとのつま]

〇扇屋折手  〇組屋女  〇鹿子結

〇綿摘[わたつミ] 〇縮物師[志めものし] 〇牙婆[すあひ]

〇衣屋  〇はなお練[ねり] 〇糸繰

〇機匠[はたをり] 〇白川石賣[志らかハいしうり] 〇矢背[やせ]黒木賣[くろぎうり]

〇大原柴賣[おほハら志ばうり] 〇百姓女房    以上


    〇女帝[にょてい]

人皇十五代神宮皇后を始めとす。

志か禮ども即位ハならず。胎中の御子

應神天皇の堂めに、摂政し給ふ。三十

四代推古天皇を即位の始めとす。聖徳太子

摂政し給ふ。そのゝち女帝、中頃稀也。

 

   〇后

むかしハ上下ともに妻といふ。異国にてハ漢

乃高祖より皇后といひ。日本におゐてハ

神宮皇后をはじめとす。太子なきまでは

中宮といふ。下々より尊んでいふハ、日本人皇

の始め神武天皇。異国にてハ周の成王より

これをいふ。中宮皇后共に天子の妻を申也


   〇姫宮

天子の姉妹および。院の御所乃御女[をんむすめ]を

皇女とも姫宮とも云也。内親王の宣下を象[…]

らざる也。内親王ハ續日本紀に、元明天皇霊

龜年中に。一品氷高の内親王をはじめとす。

位階相當親王に同じ。姫宮ハ天子の孫

彦まで也。そのすゑずえハつねの女中なミ也。

     〇齊[いつき]

伊勢ハ齊宮[さいくう]。加茂ハ齊院[さいゐん]也。人皇十二代の帝

垂仁天皇。倭姫を伊勢の齊[いつき]とす。延喜式

第五に天皇即位のとき。未嫁[ミか]乃姫宮を嵯

峨乃野宮[のゝミや]にて御禊[ミそぎ]して。伊勢へつかハさる。

加茂ハ人皇五十二代嵯峨天皇御宇に。今

宮の前、紫野にて祓[はらひ]給ふ。伊勢ハ清和天皇の


御時、在原業平、斎宮[さいくう]を戀給ひしより絶絶[たえだえ]也。

加茂ハ人皇八十三代土御門院。元久元年より

絶しとか。ほこら子といふも此餘風なるとか。

     〇尼御所

人皇四十八代称徳天皇を始めとす。孝謙帝

乃重祚[ちょうそ]なり。法基尼と号し奉る。是比丘尼

御所といひならハせり。そのゝち鎌倉頼家の

 

後室二位の尼。遍照心院を建て住給へり。是

を尼寺といふ。天子の御母御剃髪の女院姫

宮ともに、皆、尼御所といへり。今の寺ゝ御菩

提所に住給へるを。何ゝの御所といふ。

     〇内侍[ないし]

女漢の頭也。長橋局、勾當内侍諸事を傳

奏す。從三位に相當[あた]ることなり。


       〇典[すけ]

是ハ内侍の次の官也。大かたハ公卿の御女[むすめ]也。

       〇おすゑ

内侍、典傳の外、役人の女中なり。

       〇采女[うねめ]

天子の陪膳する也。古今にかづらきの大君、後

に橘乃諸兄[もろゑ]といひて。いとおそろしかりけれバ。

 

采女、土器[かハらけ]とりて。浅香山かげ御元ミ祢か山乃

井の。あさくハ人をおもふものかハと讀て。やがて

諸兄心つきて。国の守へことばやハらげ給へり

とかや。又天[あめ]の御門の御時。采女君をうらミ奉

里て。猿沢の池に身を投しかバ、わきもこが

祢ぐたれがミを さるさハの。池の▢もと見るぞ

かなしきと詠じ給ふといへり


        〇女嬬[にょじゅ]

めのワらハむかしハ内侍の下づかひに百人づつと也。

続日本紀に寶龜三年正月に。信濃国水内[ミづち]郡[ごほりの]

人 女嬬となる 是はいjめとかや

        〇半[はした]

いづれの役といふことなく。古との足[たら]ざりところへ

つかふゆへなり。半季一年あなたこなたに

 

 

つとむる也。泉式部 哥に。木にもあらず。竹

にもあらぬワが身さへ。はしに此ごろ▢ぬべきかな

とよめる。半ものゝ立よる堂よりなきと也

        〇公卿室

摂政関白乃妻を北の政所といふ。是になぞ

らへて。大臣公卿の妻を北の方とハ申也。御

臺所[ミだいどころ]女官の飲食する所也。平人ハ往▢なし。


是に準じて公卿の妻をもいひならハすると也。

將軍家ハ大臣の列ゆへ同じくいふとか。  

        〇公卿女[むすめ]

すべて小上臈[こじやうらう]といふ。二位三位乃内侍を上

臈といふにより。なべて公卿の女を皆小上

臈といふとなり

        〇神職室

社務 神主 禰宜 祝部[はふり]氏人社人乃別あり。

公家にあらず 地下[ぢげ]也。武家にあらず 長袖なり。

神社ハ萬民上々乃祖神たるにより。上々ハ政

道にいと満なく下々ハ渡世にいそがハしきゆへ

氏人をして祭らしむ。出家乃墓地を守るに

同じ。其妻たるハ平人にひとし。志かれども伊勢

八幡 加茂のたぐひハ天子將軍家へも女を


奉禮バ 采女の例に同じこと也

       〇神子[ミこ]

巫女[かんなぎ]ハ唐も日本も神を祭る女にて 夫を

祝部[はふり]といへり。吾朝にてハ倭姫乃餘風也

       〇武家室

夫乃位階に志たがふ。和泉式部 周防内侍の

堂ぐいひのごとし

         〇大名女[むすめ]

父乃官をもちゆ。夫を持てハ其位階による

        〇国御前

諸侯ハ勅命によつて敵国を制するゆへに

妾を免しつるゝもあり。木曾義仲乃巴

山吹を召つれし堂ぐひ也。又国の妾[てかけ]を阿が

めたつとひて 国御前ともいふ。

 

女帝  皇后  皇女

 

内侍[ないし] 典[すけ] おすへ

 

供の女中衆  尼御所[あまごしょ]

 

おほら子*[おほらご] 齋宮[いつきのミや] 女官[にょくハん]

(雁註)おほら子、知らない術語

 

御乳[おうば] 姫君  公卿室[くきやうの志つ] 女中*

(雁註)女中、この術語の由来に驚いた

 

采女[うねめ] 女嬬[にょじゅ] 

(雁註)*女嬬、これは漢語

 

端女衆[はした]

 

神職の室[志ん志よくのしつ] 娘  神子[ミこ] 下女

 

武家の室 大名の姫君

 

大名国御前[くにごぜん] 

 

お髪揃[おかミそろへ] 女俳諧[はいかい] 女いしや

 

女祐筆[ゆふひつ] お物師[おものし]

 

瞽女[ごぜ] 舞子[まひこ]

 

中居[なかゐ] こしもと  町人上品[じやうぼん]の室[しつ]

 

有徳人[うとくにん]の室  十種香[じっしゅかう]の躰[てい]

 

町人中品[ぼん]の妻[つま]

 

下女 大こんかく 商人[あきんど]の妻[つま] むすめ

 

職人[志よくにん]女  扇[あふぎ]屋  組[くミ]屋

 

かのこゆい  苧[お]つむぐ  わたつミ

 

志つかいや  志め物師[ものし]  すわひ* 

(雁註)すわひ、これは和語。牙儈は漢語。上方は漢語が豊富に使われている

 

衣[ころも]屋  ぞう里のはなを祢り

 

くた巻[まき]  はたおり  糸[いと]くり

 

白川(しらかわ)ノ石うり 

(雁註)石うり、これは初めて聴いた

 

百姓の女房

 

〇女俳諧 世に此道を堂しなむ女多しといへ

ども 丹州かいばらのすて女。近くハ其類[そのたぐひ]成べし

〇女右筆[ゆうひつ] いづれの役所にも筆とりなきにハあら祢

ども。すべて女の文章やハやハと。風情よく書もの也

〇舞子[まひこ] 後鳥羽院の御宇[ぎょう]に。嶋の千歳[せんざい]和哥[わか]

乃前。うのがち義經[よしつね]の妾[めかけ]静[しづか]が母。磯のぜんじな

どを始めとす。今の哥舞妓[かぶき]ハこの餘風[よふう]也。

〇機匠[はたをり]糸繰[いとくり] 人皇十五代應神天皇の御時

唐土[もろこし]より二人の女工を送る。あやめいとめ乃女

婦をそへ。くれはの里にて綾錦を織て。御衣[ぎょい]


に奉▢▢り。女工のながきいと那ミ也。君が代は

いあhあほとて。流もきよき白川石[しらかハいし]。矢背[やせ]や大原[おはら]

乃柴[しば]黒木[くろぎ]。薪[たきぎ]に花を折そへて。御代の盛

や秋ハまた。五穀一粒[里う]万倍して。百姓の女

は内を納るめでたさ。これぞ

     上巻の軸

        ならじ

 

百人女郎品定 繪草紙 西川筆 下之巻

 

(表紙裏)なし

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百人女郎下之巻 目録 

〇京嶋原太夫 〇同新艘[志んざう] 〇同引舟[ひきふね] 

〇同大天神 〇同小天神 〇同鹿戀[かこひ] 

〇同端[はし]女郎 〇忘八[くつはの]女房 〇揚屋花車[くハしや] 

〇遣手[やりて] 〇禿童[かぶろ] 〇かぶろ種[だね] 

〇江戸吉原大夫[よしハらたゆふ] 〇同新艘[しんざう] 〇同太鼓[たいこ]女郎 

〇さんちや女郎 〇うめちや女郎 〇あげや女房 

〇大坂新町大夫 〇同天神 〇禿童[かぶろ] 

〇同局[つぼね]塩位[しほのくらい] 〇同影[かげの]女郎 〇同月[つきの]女郎


 

 

 

 

〇月[つき]囲物[かこいもの] 〇妾[てかけ]奉公人 〇風呂女 

〇釣物女 〇茶屋女 〇茶屋娘 

〇茶屋花車[くハしや] 〇同二瀬[ふたせ] 〇芝居札茶屋 

〇水茶屋 〇豆腐茶屋 〇奉公人女 

〇奉公人宿嬶[やどかゝ] 〇哥比丘尼[うたびくに] 〇旅籠屋出女 

〇時宗[じ志うの]室 〇大湯女[おほゆな] 〇小湯女[ゆな] 

〇大原神子[おほばらミこ] 〇産婆[とりあげばゝ] 〇おちやない 

〇梓神子[あづさミこ] 〇綿繰[わたくり] 〇索麺粉挽[そうめんこひき] 

〇夜[よるの]水茶屋 〇惣嫁[そうか] 以上


〇三ヶ津[さんがのつ]色里の始 

世に傾国けいせいなど。にくてい口乃やうに

いひなせども。源ふかく理義ハあま祢く知る所 

天竺震旦我朝とてもさら也。殊更吾国ハ 

天神地祇より。神風乃道にみちたる国乃 

風情大に和ぐ日の本の風俗とりかや。されば

 

京江戸大坂三ヶの津を。此道乃上品[しやうぼん]と定 

るも故ある古とぞかし第一京嶋原にて。天 

正乃そのかミ。原三郎左衛門 林又市郎といふ 

浪人に許命せら禮て。則 柳馬場 二条の北  

に傾城町を開し。後ニ六条西洞院[にしのとうゐん]の東に 

移され。それよりはるか後 寛永年中に。今の 

朱雀野[しゅしゃかの]に所を易ら禮しが。昔のちなミを 

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もつて。今に西新屋敷柳町といひ傳ふる 

なり。そのときの原氏ハ今の嶋原上[かミ]乃町 

西南角。桔梗屋八右衛門が祖也。又林氏は 

今の下[志も]のまち西南角。藤屋八郎左衛門屋敷 

その跡[あと]也。林氏ハ寛文年中に大坂に引越。 

今の大坂新町扇屋是なり。江戸ハ楚 

のかミ太田氏。彼土地をひらか禮し砌[見ぎり]に

 

御赦免にて何忘多か里しが。ワけて山下氏 

など此道乃祖也。難波津新町ハ昔よ里 

繁華の大湊にして。諸方に色町多かりしが 

寛永乃末 正保のはじめつかた。ひとつ所に 

あつめられて四筋[よすぢ]の町となりぬ。則 木村や 

又二郎町・瓢箪町これなり・佐渡嶋乃勘右衛門町 

四郎兵衛町 金右衛門町 吉原町これなり。其 

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外六十六国に色さぞ数多ありといへ 

ども。およそ けいせい町と證[せう]する所のもの 

は。阿らまし泉州堺の乳守[ちもり]ならびに 

高洲。和州の奈良に木辻鳴川。伏

見乃撞木 泥町。大津に志ばやまち。 

越前に三国。敦賀乃両町。西国筋 

におゐてハ播广乃室[むろ]。同国鶉野[うづらの]の

 

姫路や又左衛門増し。備後の鞆[とも]。同じくたゞ 

のうミ。備中の宮中[みやうち]。安藝[あき]乃宮嶋の新 

町。下の関いなり町。長崎の丸山町。 

此外国々所々に遊女ハ多しといへども。 皆色里などとこばし亭。さ満ざま乃品 

位あまたなれども。土地のかハりめ風俗 

いろいろあ禮バ。志バらく爰に略す

 

京嶋原太夫 新ざう やりて かぶろ 局女郎見てゐる。

(雁註)やりて、必ず顰め面して、八の字の眉

 

鹿戀[かこい] 小天神 かぶろ あげやノ くハしや 大天神

 

くつわノ女房 かぶろ かこい はし 身仕廻

 

江戸よし原 さん谷[や] かぶろ あげやノ女房 進上物  

太夫 新ざう たいこ女郎 文かく

 

うめちや女郎 さんちや女郎 

 

やいて かぶろ 太夫 天神 七夕の立花[りっか]  大坂新町

 

局女郎 塩ノ位 影ノ位 月ノ位 

(雁註)これらの位[くらい]、意味が解らない

 

きも入かゝ てかけ奉公人  月 かこい物

 

風呂女 くわしや 宿ノかゝ つり物女

 

茶屋女 娘文 ふたせ くハしや 

 

志ばゐノ札茶屋[ふだぢゃや]  たうふ茶屋  水茶や 

 

志はてん 多葉粉 はつと▢  割▢ おろし いろいろ  柿かふ  奉公人宿かゝ ほうこう人ノ女ども

 

哥びくに はたごや出女 

 

小湯女[ゆな] 大ゆな  大原神子[おばらミこ] おちやない

 

取上[とりあげ]ばゞ  さん所[じょ]  

お里ノこしもと

 

時宗[じ志う]の室  

 

あづさ神子[ミこ] からの鏡がいゝたりござるぞ ようようしやれ

 

よいひよりの  わたくり 

 

そうめんの粉引[こひき]  哥がおもしろい

 

夜の水茶屋 吉野や   惣嫁[そうか] 夜鷹[よたか]

 

〇時宗室 一遍上人もとハ 阿野ノ道直[見ちなを]とて北條時宗 

の家にして武勇の人なりしが。あるとき本妻と妾[てかけ]と 

同じく臥して有しに。二人の黒髪 蛇と成てあらそふ 

を見て發心し。由良の法灯[はとう]禅師に法をつぎ給ふ。 

時宗後世[ごせ]のため。ワが名を宗門の名に付て給ハれ 

との望によつて。浄土時宗をひろめ給ふ。二人の女も 

尼と成て同じく修業す。此例にや 妻帯と也 

〇湯女[ゆな] 楚の襄王 瘡を悩れしに。巫山乃神女 

温泉を志つらひて 沐をしより。温泉の湯女ハ 

はじま里しとかや。其外 品々爰に畧


〇惣嫁[そうか] 猪もふすゐといへバ やさしく。石の枕やこけ 

むしろ。いもせををしむ初夜のかね。かさね婦とんや つり 

夜着の。はやきぬぎぬの別を惜む たのしミも。ただ一 

心の中なれや。上ハ及ばぬ雲の上下万民にいた 

るまで。二柱乃子々[志し]孫々[そんぞん]。幾萬歳[ばんぜい]の 

春ぞ堂のし幾 

 下巻終 

享保八年夘正月吉日 京婦や町通せいぐハんじ下ル町 

八文字屋八左衛門板

 

 

 



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